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2021年4月

2021年4月27日 (火)

狩猟登山家の「読む栄養」

 最小限の装備で入山し、食料は狩猟で現地調達するサバイバル登山家・服部文祥さんの最新刊「You are what you read あなたは読んだものに他ならない」(本の雑誌社)を読みました。

 世界で唯一無二とも言える狩猟登山家は、どのような活字に触れて、その価値観を持つに至ったのか。山中で捕らえた鹿や蛙が、身体をつくっているならば、精神をつくってきたのは書物でしょう。書評というよりも、本をテーマにしたエッセイ集である本書のタイトルはそういう意味を込めているようです。

 服部さんが2017年に初めての小説「息子と狩猟に」(新潮社)を出版した時にインタビューをさせて頂いたことがあります。「取材場所はどこにしましょうか」と尋ねたところ「いえ、そちらまで行きます」と走って、私の勤め先に現れた時には度肝を抜かれました(実はたまたま職場が近かったというだけですが)。

 この「息子と狩猟に」は、極限まで山との一体化を目指し、生死と対峙してきた独自の世界観を具現化した強烈な物語で、人間界の常識や倫理観を超えた根源的な生命についての問い掛けをテーマとした作品でした。読後4年経っても、その強烈な印象が残っていますが、服部さんの読書歴を辿ることで、改めてその世界観を突き付けられたような気がします。

 紹介されている本はナンセンの『極北 フラム号北極漂流記』をはじめとする冒険記ももちろんありますが、『仏教思想のゼロポイント 「悟り」とは何か』(魚川祐司著)のように宗教観に関するものや「生命の根源を問う『私たちはどこから来て、どこへ行くのか 科学に「いのち」の根源を問う』(森達也著)のような書籍も登場する。ヘミングウェイの「老人と海」やサン=テグジュペリの「夜間飛行」など世界の名作も含まれています。様々なジャンルの書籍が、強力な引力で独自の世界観に引き寄せて語られているところに圧倒されました。

 私自身、既読の書籍も多いのですが、狩猟登山家の価値観というフィルターを通して、一つひとつを改めて読み返してみたいという衝動に駆られているところです。そんなことをしているうちに、野生の獣肉が食べたくなってくるのではないか…と、そんな予感がしています。

You_are_what_you_read

2021年4月12日 (月)

「最速で体が変わる『尻』筋トレ」

 新刊「最速で体が変わる『尻』筋トレ」(弘田雄士著、青春出版社)をご紹介します。

 最速で筋トレの効果を実感するには「お尻の筋肉」を鍛えること―。そう力説する本書は、まず腕立て伏せや腹筋から筋トレに取り掛かることは「とても効率が悪い」という重要な指摘から始まります。

 従来の筋トレのイメージを覆すビルドアップ術のキーワードは男性ホルモンの一種である「テストステロン」。初めて聞く話が満載ですが、説得力があるのは筆者であるスポーツトレーナーの弘田雄士さんが、これまでに千葉ロッテマリーンズのコンディショニング・トレーナーとして日本一に貢献するなど、様々なトップアスリートのサポート役としての確かな実績があるからでしょう。

 1日5分、老若男女誰でも手軽にできるトレーニング方法が写真付きで詳述されているのは嬉しいです。

 筋トレ指南本は世に数多くありますが、本書は何よりもプロ野球選手の息子として育った弘田さんが、トレーナーの道を志し、様々なアスリートの体と向き合ってきた信念が貫かれていることを感じます。

 筋トレの一番の成果とは?「自分が潜在的に持っている力を100%発揮できるようになること」

 つまり変わるのは、身体だけに留まらず、人間性にまで良い影響をもたらしていくものだということなのです。

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2021年4月 9日 (金)

「人間の器」

 伊藤忠商事の元会長で、中国特命全権大使などを歴任した丹羽宇一郎氏の人生訓「人間の器」(幻冬舎新書)を読みました。

 本の中で説いている「「器の大きい人」とは自分に利益がなくとも、他人のために行動できる人」。言い換えれば「利他心」を持っている人のことでしょう。

 やはりこういう話の説得力の有無となると、発している人物の行動と照らし合わせて判断することになるでしょう。丹羽氏といえば、伊藤忠商事の社長時代に巨額の不良債権を一括処理して、翌年度には史上最高益を計上した実績があります。日中関係をめぐる様々な発言には賛否両論あると思いますが、少なくとも私利私欲に基づくものではないと、私は思っています。

 人生も後半戦に入った我が身を振り返ると、世の中の役に立ったことなど何一つなく、自らの器の小ささを嘆きたくなるばかりですが、「人間はいつからでも変われる」という丹羽氏の言葉に励まされました。

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甲斐毅彦

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