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2021年6月25日 (金)

「十六歳のモーツァルト」

ノンフィクションを読んで思わず落涙したのは、いつ以来のことだろうか。KADOKAWAの新刊「十六歳のモーツァルト」(小倉孝保著)を読み終え、生命の尊さをひしひしと感じています。
 4歳の頃から自分で音符を書いて作曲をはじめた加藤旭は、その驚異的な才能で音楽関係者を驚かせ「モーツァルトの再来」とまで称賛された天才少年です。将来を嘱望されましたが、神奈川県の難関校、栄光学園中学に進学後に脳腫瘍を発症。作り出したおよそ500曲を遺し、2016年にわずか16歳で旅立ちました。

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 本書は加藤旭の家族をはじめ、関わった音楽関係者、学校関係者、友人、医療従事者らを綿密に取材して、生い立ちから旅立ちまでの16年間を追った作品です。こんなにも短い人生で、確かな「生きた証」を遺しただけでなく、多くの人の心をも動かした少年がいたとは。
 加藤旭の余命宣告がなされた後、尽きようとしている命を輝かせようと、奔走する人々の姿が、強く胸に迫って来るのです。
 こんなにも感動的な話なのに、過剰な美化や押しつけがましい表現が一切ない。著者はこれまでに小学館ノンフィクション大賞などを受賞している毎日新聞の論説委員。その文章の巧さは言うまでもなく、新聞記者の模範のようなものです。
 本書に登場する人物はすべて実名で、進学塾や、利用したファミリーレストランのメニューまでが具体名で記されています。それが加藤旭が生きていた時の足跡の一つひとつを慈しむかのように感じられて来ました。
 この秀作をもっと多くの人に読んでもらって良いのではないか。ただその思いで、ご紹介させて頂きました。

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甲斐毅彦

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