ブログ報知

スポーツ報知ブログ一覧

« 2021年6月 | メイン | 2021年8月 »

2021年7月

2021年7月17日 (土)

「東京クルド」

 渋谷のシアターイメージフォーラムで公開中の「東京クルド」(日向史有監督)を観てきました。幼少の頃に故郷トルコでの迫害を逃れるために日本にやって来た18歳と19歳の2人のクルド人青年を撮ったドキュメンタリー映画です。https://tokyokurds.jp/

Photo_2

 難民申請をしても認められず、入管の収容を一時的に解除される「仮放免」処分の状態にある2人。日本で生活していかなくてはいけないのに、合法的に働くことすら認められない状態で悪戦苦闘する彼らの姿を通じて見えて来る日本社会。その排他性には愕然とするしかありません。

 私自身も妻が外国籍なので、これまでに在留許可や永住権の申請のために何度も入国管理局には足を運んでいるのですが、改めて外国人の視点に立つことで、初めて見えて来るものがあります。日向監督は敢えて施設内には足を踏み入れずに撮影することで、入管施設の本質を浮かび上がらせたようにも感じました。

 無期限で密室に閉じ込められ、死んでしまってもその経緯を公表しない日本の入管施設の問題は、スリランカ人女性の死亡事件を受けてようやく報道される機会が多くなって来ました。私は、諸外国の制度や国際条約を検討した上で、日本の入管施設がなぜここまでひどいものになったのか歴史的な背景を多角的に知っていくことが必要だと日頃、思っています。その前提として、映像を通してでも彼らがどのような差別的待遇を受けているかという事実を知ることが不可欠なのではないでしょうか。

 まもなく開催される東京五輪でも「難民選手団」が結成されるそうです。日本は当然、歓迎の意を表するのでしょう。それはそれで良いとしても、その裏で難民を認めようとしない日本の入管行政の現実から目を背けてはいけないと私は思います。

2021年7月11日 (日)

「サイレント 黙認」

 ホラー小説と言えば20年以上前に映画化されて話題になった鈴木光司さんの「リング」ぐらいしか読んだ覚えはないのですが、やはり本というのは、ふだん読まないジャンルを読んでみてこそ新鮮な感覚が味わえるものです。

 12日に刊行される神津凛子さんのサイコ・ホラーミステリー新作「サイレント 黙認」(講談社)は、まさにこの大切なことを思い出させてくれた1冊でした。帯の紹介文には、こんなふうに書かれています。

 建築会社に勤める勝人は、コーヒーショップ店員の華と運命の出会いを果たす。一目で心を奪われた勝人は、彼女との距離を少しずつ縮めていく。ところが、それから勝人は奇妙な子どもの姿を目撃するようになる。自分以外の誰も見えない幻影に苦しめられながらも、華の優しさに救われる勝人。一方、華の弟である星也は、突然様子が変わった姉が気に入らない。華の彼氏は本当に信用できるやつなのか?血のつながらない姉にほのかな恋心を寄せる星也は、親友の葉月とともに、勝人のことも調べだすが…。

Photo

 舞台設定には何の変哲もないですが、その後の展開が独創的。そして何よりもこれから蒸し暑くなる時期に、背筋を冷やしてくれる場面が多い点でもお勧めできます。

 著者の神津さんは歯科衛生専門学校を卒業後に2018年「スイート・マイホーム」で小説現代長編新人賞を受賞。なぜホラー小説の書き手になられたのか、存じませんが、他の作品も読んでみたい気持ちになりました。

甲斐毅彦

2021年9月

      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    

最近のトラックバック

見出し、記事、写真の無断転載を禁じます。Copyright © The Hochi Shimbun.