「家族不適応殺」
2018年6月9日に起きた新幹線無差別殺傷事件の犯人を取材したルポ「家族不適応殺」(インベカヲリ☆著・角川書店)を読み終えました。
「無期懲役の判決を得て、一生刑務所で暮らしたい」。この願望を叶えるため、当時22歳だった小島一朗は、東海道新幹線の車内で、男女3人をナタで襲撃。止めに入った男性1人を殺害し、女性2人に重軽傷を負わせました。
そして法定において「希望どおり」の判決が言い渡された時には裁判長の制止を無視して大声で万歳三唱―。
写真家でもある著者は、拘置所の小島と手紙のやり取りをし、複数に渡って面会。なぜこのような異常な人間になってしまったのかという疑念は、小島の家族への取材を繰り返す中で、少しずつ解けていきます。
「刑務所に入りたい」「死刑になりたい」。これらの身勝手な願望を叶えるための犯行は、小島が起こした事件の後も繰り返され、今年も8月6日には小田急線内で、10月31日には京王線内で刺傷事件が起きています。何が暴発する彼らを生み出しているのか。まず、その背景を知ることは意義のあることだと思います。
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