「ニュースの未来」
ノンフィクションライター、石戸諭さんの「ニュースの未来」(光文社新書)を読みました。インターネット時代に入って、新聞やテレビなどの伝統メディアは構造の転換を迫られていますが、かといって新興ネットメディアも十分な収益が上がるほど成功しているケースも多くはありません。
「ニュース」に携わる人たちが自信を失いつつある現状を踏まえつつ、本来の「ニュース」の役割とその創造性、可能性について多角的に語った優れた論考だと思いました。
著者は2006年に新聞記者になり、10年でネットメディアの「Buzzfeed Japan」に移籍。2年後にフリーのライターとして独立しています。新聞も、ネットメディアも「限界」を感じての判断ですが、いずれも惰性では身を置きたくなかったのでしょう。
ニュースを語る上で、ノーベル賞作家のガルシア・マルケスを冒頭にもって来る展開は非常に独創的。著者が相当な量のジャーナリズム関連書籍やノンフィクションを読み込んで、自身のライターとしての価値観に落とし込んでいることが伝わる1冊でした。新たな気づきも多かったです。
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