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2022年1月

2022年1月30日 (日)

「沢村忠に真空を飛ばせた男」

  「講談社 本田靖春ノンフィクション賞」の受賞作「沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修評伝」(細田昌志著、新潮社)をやっと読み終えました。


 二段組み560ページの超大作。1月の読書時間はほぼこの1冊を読み切るのに費やしてしまいましたが、それだけの価値があるノンフィクションでした。


 「キックの鬼」の異名で1970年代に活躍したキックボクサー・沢村忠。必殺の真空飛び膝蹴りで、タイから来たムエタイの猛者をバッタバッタとなぎ倒し、国民を熱狂させた格闘家です。しかし、そのすべては本当に真剣勝負だったのだろうか。もし、そうでなかったとするならば、なぜだったのか。

 本書の主人公は、沢村ではなく、沢村や歌手の五木ひろしを生み出したプロモーターの野口修です。父で、戦前のボクサー、ライオン野口(野口進)にまで遡って、その生い立ちから辿っていく本書は、一部の芸能史も含む、戦後のプロ格闘技興行史なのですが、それを柱に、知られざる政界やフィクサー、裏社会の逸話が散りばめられており、全く飽きるところがありません。

 読み終えて、最も感じたことは、日本のプロ格闘技興行というのは、野口修という人物のパーソナリティーが今も色濃く反映されているのではないか、ということでした。

 格闘技ファンはもちろんですが、そうでない人にも是非お勧めしたい。放送作家である著者はこの一冊の取材・執筆に10年を費やしたそうですが、それだけの価値があるノンフィクションです。

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2022年1月29日 (土)

ドキュメンタリー映画「テレビで会えない芸人」

 政界などの痛烈な批判をコントに盛り込むお笑い芸人・松元ヒロさんを追ったドキュメンタリー映画「テレビで会えない芸人」(監督・四元良隆)の上映がポレポレ東中野で始まりました。プロデューサーは「ヤクザと憲法」「さよならテレビ」などの衝撃作を手掛けてきた阿武野勝彦氏です。

 チャップリンに憧れ、お笑いの道を歩み、かつては社会風刺コント集団「ザ・ニュースペーパー」の一員としてテレビ番組にも出演していたヒロさん。しかし、現在は活躍の場を舞台に移しています。ライブ会場はいつも満席。映画の中では、活気に満ちた会場でキレキレのコントを披露する姿も見ることができます。

 これだけ人を惹きつける力があるのに、なぜテレビから消えてしまったのか。それがこの作品の大きなテーマなわけですが、是非観た上で、その訳を感じ取ってみて頂きたいと思います。

 このネタってテレビでできるのか。できないのか。「それを考えながらテレビに出るのが嫌なんですよ」。ヒロさんのこの言葉が私の心には刺さりました。

 ヒロさんにはこれまで何度かお会いしていますが、人間的にも本当に素晴らしく、心から尊敬できる人物です。

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https://tv-aenai-geinin.jp/

2022年1月 3日 (月)

「海をあげる」

 今年最初の読書は、昨年のYahoo!ニュース本屋大賞ノンフィクション本大賞の受賞作「海をあげる」(上間陽子著、筑摩書房)でした。

 著者は学者の立場で、未成年の少女や若年出産した女性たちの調査を続ける琉球大学教授。幼い娘と暮らす沖縄での生活を綴った本作は、ノンフィクションというよりも、珠玉のエッセイ集と呼んだほうが相応しい気がします。学者として調査し、溢れてこぼれた詩のような言葉をつないでいって作品群となったのでしょうか。

 普天間基地に隣接した地域で暮らし、あくまで生活者目線で見た理不尽な社会へ向けられた言葉。それは、サラサラとしているようで、実はズシリとしています。

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甲斐毅彦

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