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2022年2月26日 (土)

「ソ連兵へ差し出された娘たち」

 昨年の開高健ノンフィクション賞受賞作「ソ連兵へ差し出された娘たち」(平井美帆著、集英社)を読み終えました。
 第2次世界大戦末期、ソ連が対日参戦し、満州への侵攻を開始すると、関東軍は居留民間人には何も知らせずに敗走。その後、取り残された民間人たちの苦難は小説などにもなり、よく知られていますが、本作品では、取り残された結婚前の女性たちが見舞われた凄惨な悲劇が、存命の当事者たちへの綿密な取材で明らかにされています。
 当時喧伝されたの国策に乗っかり、岐阜県から新天地・満州に移り住んだ黒川開拓団。敗戦後、日本への引揚船が出るまでは入植地での集団難民生活に入ります。現地民は襲撃を繰り返す暴徒と化し、本来ならば進駐して治安を守るべきソ連兵たちが取った行動は、略奪や「女漁り」でした。頭を悩ませた開拓団の幹部がとった手段は「人身御供」。それは読み進めるのも辛くなるほどの事実であると同時に、それを綴る著者の強い義憤が伝わって来ます。
 戦争で犠牲となるのが、弱い立場の女性や子どもたちであるということは、恐らく古今東西に共通することであり、戦時性暴力の本質でしょう。それは常に可視化されているとは限らない。
 時代も、場所も、状況も異なりますが、ロシアによるウクライナ侵攻が進んでいる今、目に見えない部分への犠牲に対して、せめて想像力を持っていたいものです。

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現代史のノンフィクションとして、噓つきプーチンとその仲間たちについて記録に残し、彼らに罪の償いをさせてほしい。

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甲斐毅彦

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