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映画

2019年5月14日 (火)

映画「記者たち 衝撃と畏怖の真実」

 吉祥寺のアップリンクで米映画「記者たち 衝撃と畏怖の真実」(ロブ・ライナー監督)を観てきました。2003年、ブッシュ大統領が強硬したイラク戦争の裏側を暴こうとした記者の奮闘を描いた実話に基づく作品です。

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 9・11の悲劇の2年後、ブッシュ大統領が強行したのがバグダッド爆撃に始まるイラク侵攻。その口実となったのが、イラクが保有しているとされた「大量破壊兵器」でした。主要メディアが、この戦争を支持する中で、ナイト・リッダー社の記者たちは、「大量破壊兵器」の有無ではなく、政府方針が「イラク侵攻」ありきだった事実をつかみ、報道に踏み切ります。

 時代が変わってトランプ政権となった今、米国では政府によるメディア攻撃は、ブッシュ政権時代以上に強まっているように思います。 もちろん、極東のこの国も。北方領土返還をめぐり「戦争をしないとどうしようもなくないか」などと口走る国会議員が存在するのは恐るべきことですが、このような映画が好評を得ているのは救いのように思えます。

2019年4月29日 (月)

映画「アレッポ 最後の男たち」

 ロシア軍による空爆に曝されるシリア市民を撮影したドキュメンタリー映画「アレッポ最後の男たち」(監督・フェラス・ハヤード、104分)を渋谷のシアター・イメージフォーラムで観てきました。

 無差別爆撃により、コンクリートの中に生き埋めになるのは小さな子どもを含む一般の市民たち。作品は自らの命を顧みずに、その救出作業を行う男性を中心に描いています。

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 米軍による空爆下のバグダッドを撮影した綿井健陽さんの「Little Birds~イラク 戦火の家族たち」を観たときにも感じましたが、どんなに優れた平和論も、犠牲となる市民を撮影した一篇の映像作品にはかなわない。本作でも、それを強く感じさせられました。空爆の主がアメリカであろうと、ロシアであろうと、そこに正義などあるはずがない。

 イメージフォーラムは、先日封切りになった慰安婦をテーマにした「主戦場」の行列ができていましたが、「アレッポ」も満席でした。GWに遠出しない関東の方には是非お勧めです。

2019年3月22日 (金)

映画「新宿タイガー」

 新宿へ出掛けた時に、虎のお面とピンクのかつらをかぶり、ド派手な花柄の衣装を着て新聞配達をしている奇怪な人物を目撃したことはありませんか?


 この姿で40年以上、新宿を闊歩して来た男性を主人公にしたドキュメンタリー映画「新宿タイガー」が22日からテアトル新宿で公開されます。監督はフリーランスのTVディレクターとしても活躍する佐藤慶紀氏(44)。

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 東京・中野区で育った私自身が新宿タイガーを見て度肝を抜かれたのは80年代後半、高校生の頃でした。正体の原田吉郎さん(71)は、これまでに何度かメディアの取材は受けていたので、素顔は知っていましたが、情報は断片的でした。何のためにこんな格好をしているのか。単に目立ちたがり屋なのか。それとも思想があるのだろうか。ついにドキュメンタリー映画ができると聞き、長年の謎が解けるのではないかという期待を持って試写会に行って来ました。


 その素顔は美女と酒と映画を愛する純粋な人物。交流のある美女たちと日替わりでゴールデン街でグラスを傾け、語らう背中から伝わって来るのは、人生をどこまでも楽しもうという自由な精神です。
 原田さんは1948年、長野県出身。67年に上京して大学に入学しますが、69年に中退。タイガーのお面をかぶり始めたのは72年頃。75年に新聞配達を始め、44年経った今も続けています。


 知りたいのは、お面をかぶり始めた理由です。映画の中での原田さんの答えは、神社のお祭りで売られている虎のお面を見たときに「オレ、新宿の虎になる」と思ったとのこと。でもどうして? 「直感に理由はない」。これ以上多くは語ろうとはしませんでした。


 原田さんが上京した60年代後半は、新宿が若者文化の中心地でした。ベ平連のフォークゲリラが西口広場に集い、68年には過激派と機動隊が衝突する新宿騒乱が発生。そんな中で、新宿の街づくりの中心人物だった紀伊國屋書店の創業者・田辺茂一氏が「新宿メディアポリス宣言」を発表しました。メディアと一体化して新しい街づくりをしようという構想は、まもなくスタジオアルタを生み出し、フォークゲリラは姿を消していきました。


 ただし、原田さんは学生運動には関わっていないと言います。この頃、原田さんが夢中になっていたのは映画。とりわけ当時大ヒットしていた「唐獅子牡丹」には夢中になったとのことです。男は黙ってサッポロビール。原田さんは、黙って「虎」になることを選んだのかもしれません。

 40年以上の歳月が経ち、変わり続ける新宿で、変わらずに「虎」であり続けるのは、なぜなのだろうか。映画を見終わった後は、ずっと問いかけられているような気持ちになりました。

2018年12月 3日 (月)

ドキュメンタリー映画「選挙に出たい」

 中国から日本に帰化して2015年の統一地方選で、新宿区議選に出馬した、歌舞伎町案内人・李小牧氏(58)の選挙活動を密着取材したドキュメンタリー映画「選挙に出たい」が12月1日から東京・中野区のポレポレ東中野で公開されています。ぎこちなさが残る日本語で街頭演説する李氏は、批判や罵声を浴びるのを覚悟で、なぜ無謀とも言える挑戦をしたのか。多様化が進む日本社会の民主主義のあり方を独自の視点から見つめた作品です。

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 私自身も15年に区議選に出馬した李小牧さんを取材したのですが、本作の中国人女性監督のケイヒさんとは、その時に知り合いました。撮影から発表まで3年かかったわけですが、長年心血を注いだにふさわしい素晴らしいドキュメンタリーに仕上がっています。

 ベストセラーになった「歌舞伎町案内人」の著者として知られる李氏は、出馬の2か月前に日本国籍を取得。民主党(当時)の推薦を得て、無所属で新宿区議選に挑みました。ですが、言葉の壁や習慣の壁は、簡単に克服できるものではありませんでした。映画では李氏本人も予想していたとおりの悪戦苦闘ぶりが、克明に撮影されています。

 新宿区内での街頭演説終了後、休憩のために入った喫茶店で「よろしくお願いします」と頭を下げる李氏に、高齢の女性店主は遠慮ない言葉を浴びせかけます。「外国から来た2世、3世なら分かるけど1世は絶対にダメ。帰化したばかりでしょ。政治家としてちょっと信用できないわ」。それでも負けずに街頭活動する李氏。「帰れ!」と罵声を浴びせられることも。他の候補者と小競り合う場面もあります。

 私が取材した時、李氏は当時出馬の理由をこう説明していました。「これこそが自由です。褒められるばかりが民主主義ではない。中国では自由に立候補することさえできない。もし、外国から来た私が当選できたのならば日本は本当の民主主義の国です」。日本在住のケイヒ監督は、そんな李氏に興味を持ち、カメラを回し始めたのでした。

 「李さんが面白い人だったので、撮ればストーリーができると思いました。初めて会ったその日に撮影を始めました。言い間違える日本語は直してあげたいぐらいで、その時も無所属のことを『ムシュゾク』と言ってましたが…(笑)」

 撮影後、1年かけて編集したケイヒ監督は、作品を山形国際ドキュメンタリー映画祭に出展。外国からの移住者が急増しつつある日本社会で暮らす日本人に対して「他者」との共存のあり方を問いかける作品は高く評価され、山形での上映では満席となり、10人以上が立ち見となりまた。

 「映画は楽しみながら観ていただきたいです。(作品に込められたテーマは)外国人の移民問題や若者の政治への関心などいろいろありますが、どこかに自分にとって関心があるポイントになるところがあったら、そこを考えて頂ければ」

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 ケイヒ監督は中国・河北省出身。中国の大学で日本語を専攻し、ジャーナリストを志して2005年に来日しました。北大大学院の国際広報メディア・観光学院で学んでいる時に、中国の三峡ダムの建設の背景や立ち退きの現実を描いたドキュメンタリー映画「長江にいきる 秉愛(ビンアイ)の物語」(馮艶=フォン・イェン=監督)を鑑賞し、衝撃を受けたそうです。

 「自分は映像の道が好きかも、と。卒業制作でもドキュメンタリーを作りました」。メディア修士号取得後は、番組制作会社のテムジンに入社。アシスタントディレクターをやりながらドキュメンタリー作りを学び、さらに13年には英国の大学院に留学して映像制作を学んだ。日本に戻り、そろそろ「初監督作品を」というタイミングで出会った被写体が、出馬を目指している李氏でした。その選挙の結果は落選。現実はやはり厳しいものでした。

 「撮影を続けながら李さんの変化はカメラを通して見えてきました。選挙の過程や結果よりも李さんが選挙活動を通じて、世の中に提示した問題が大事だったのではないか、と撮り終えた今は思っています」

2018年10月18日 (木)

映画「僕の帰る場所」

 ポレポレ東中野で日本・ミャンマーの合作映画「僕の帰る場所」(藤元明緒監督)を観てきました。東京在住のミャンマー人家族。夫は入国管理法違反で検挙されてしまい、妻が幼い子2人を食べさせています。妻は日本での生活に不安を感じ、子供2人を連れてミャンマーへ帰るのですが、子供たちにとっては、まさにそこは言葉も通じない「外国」。在日外国人家族を取り巻く社会背景を描いた秀作でした。

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 実話に基づいて、実際のミャンマー人家族が役者として再現した作品なのですが、ドキュメンタリー映画を観ているような錯覚に陥りました。というのは、彼らが演じているというにはあまりにナチュラルで、特に幼い子供たちは演技しているように思えなかったからです。

 上映後にプロデューサーの渡邉一孝さんにお聞きしたら、モデルになった一家は、本当に夫(父親)と離れて生活しているらしく、子供たちは実生活とダブらせるようにうまく仕向けていたとのこと。つまり、子供たちは演じているのではなく、素の状態のままだったそうで、その点にとても驚かされました。

https://passage-of-life.com/

2018年8月12日 (日)

映画「カメラを止めるな!」

話題の映画「カメラを止めるな!」(上田慎一郎監督)を観て来ました。

 まったく事前知識なしで観たので、最初は「なんだこりゃあ」という感じでえげつないシーンを観ていたのですが、途中からすっかりはまってしまいました。こんな仕掛けの映画を観たことはありません。これほどネタバレすれば台無しになってしまう映画はなく、人には「ゾンビの映画。面白いから観て」と。これ以上は言わないほうがいいでしょう。

 それでも一つだけ言わしてもらえば、この映画はフィクションなので虚構なわけですが「虚構のマトリョーシカ」のようになっており、それが実は壮大なドキュメンタリーなのではないか、と思ってしまう。それほど素晴らしい作品です。

 

 出演者に私が知っていた方は一人もいらっしゃいませんでしたが、皆さん味わい深く、大好きになってしまいました。

 この映画はわずか84席のk’sシネマで上映が始まった「インディーズ映画」ですが、話題が話題を呼んでこの夏に大ヒット作となりました。豪華キャストを使ってヘタにお金ばかりかけた映画よりも絶対面白い。お勧めです。

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2018年5月 6日 (日)

映画「タクシー運転手 約束は海を越えて」

 韓国で大ヒットした映画「タクシー運転手 約束は海を越えて」を新宿で観てきました。1980年5月の光州事件をテーマにした作品。とても楽しみにしていったのですが、期待以上の面白さでした。絶対お勧めです。

 何よりもエンタメ作品としての出来が秀逸なのですが、民間人168人が犠牲になり、鎮圧した側の軍人、警察官も27人が死亡した大騒乱を圧倒的な迫力でリアルに描いています。

 

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  光州事件とはざっくり言えば、民衆運動の拠点となっていた全羅南道光州で、学生・労働者の民主化運動を戒厳軍が武力弾圧し、多数の死傷者が出た事件です。朴正煕(박정희)大統領暗殺後の1979年12月、全斗煥を中心とする軍部が実権を掌握し、非常戒厳令を全国に拡大したことへの市民の反発が発端でした。

  名優、ソン・ガンホが演じる主人公は純朴で人間味あふれるソウルのタクシー運転手。学生デモのとばっちりで商売上がったりだ、と嘆いているところで、光州への潜入取材を試みるドイツ人ジャーナリストを乗せて光州へ向かうことになります。

   政治などまったく関心がなかったタクシー運転手が、この騒乱に巻き込まれてしまうハチャメチャな話。ですが、視点は一貫して民衆の側から描かれており、また弾圧があるところにこそ、報道する者の使命があるということを強く感じさせる作品でした。
 
 まだ当事者がたくさん生きているこの騒乱をエンタメ作品にしてしまうことだけでも、日本との国情の違いを感じさせられます。ただ、現在の文在寅大統領は「今の政権は光州民衆運動の延長線上にある」と宣言していますし、ある意味では作品化の機が熟したと言えるのかもしれません。

http://klockworx-asia.com/taxi-driver/

2018年3月24日 (土)

ドキュメンタリー映画「獄友」

 
  24日からポレポレ東中野で公開されたドキュメンタリー映画「獄友」(金聖雄監督)を早速観てきました。

 袴田事件の袴田巌さん、布川事件の桜井昌司さん、杉山卓男さん、足利事件の菅家利和さん、狭山事件の石川一雄さん。彼らは殺人事件の犯人としてともに青春時代を刑務所で過ごした「獄友」。無罪を勝ち取った4人と今も第3次再審請求中の石川さんとの交流を撮った作品です。

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 彼らは口をそろえて「不運だったけど、不幸ではない」と言います。やってもいない殺人犯で、人生を台無しにさせられたのだとしたら、首をひねってしまう言葉ですが、映画を観て納得できました。彼らが刑務所生活で失ったものは、もちろん計り知れないわけですが、逆に得たものも大きかったのです。...

 まるでタレントのように活発な活動をする桜井さんの姿や、現実と自分の頭の中で築き上げてしまった世界をさまよい続けている袴田さんの姿を見て、目に見えないものへ想像力を働かせることがいかに大切か。改めて考えさせられました。

 菅家さんは釈放されて手記「冤罪 ある日、私は犯人にされた」(朝日新聞出版)を出版した2009年にインタビューをさせて頂いたのですが、その頃よりも血色も良く、顔もふっくらされていて、充実した人生を過ごされているんだな、と感じました。

 石川さんのお姿は、取材で東京地裁の前を通るときにいつも拝見します。無罪を勝ち取る戦いはまだ続いているのです。
http://www.gokutomo-movie.com/
 
 
 
 
 
 
 
 
 

2017年11月 5日 (日)

映画「禅と骨」

 遅くなりましたが、ポレポレ東中野で公開中のドキュメンタリー映画「禅と骨」を観てきました。監督は傑作「ヨコハマメリー」の中村高寛さんなので、期待して行ったわけですが、期待を超える素晴らしい作品でした。


 主人公は1918年に横浜で生まれた日系米国人の禅僧・ヘンリ・ミトワ。晩年の彼を撮り続けた作品ですが、作品中には若い頃のヘンリを描く劇映画が挿入され、さらにはアニメも加えた多層的な作りになっています。虚構も交えて描き出した人物像は、枯淡の境地に達した禅僧のイメージとはほど遠く、一筋縄でいかない人間臭さを感じさせるものでした。

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 青年期を過ごした日本では、特高刑事からスパイ容疑をかけられ、渡米後には日系人収容所で過ごしたヘンリの人生は、まさに運命に翻弄され、常に「他者」としてみなされて来たと言えます。そして禅の道に進み、茶道や陶芸で才能を発揮していくのですが、これほどまでに波乱万丈な一代記はなかなかないでしょう。


 後半では、病で倒れ、衰えていくヘンリが、ドキュメンタリーの撮影を拒み、取材者とぶつかる場面があります。最も悲哀を感じさせるところですが、中村さんはここをしっかり伝えてこそ人物像が浮き彫りになると思ったのでしょう。ドキュメンタリストの魂を感じさせる場面でした。


 私がもう一つ、印象に残ったのは、ヘンリが作家の水上勉を慕っていたということ。水上勉は10歳の時に京都の禅寺の徒弟となり、僧籍にあったことが知られています。その代表作は室町時代の破戒僧の伝記文学「一休」です。


 ヘンリの波乱万丈、壮絶な人生を映像で追いながら、私は風狂の精神に生きた一休禅師とヘンリを重ね合わせて観ていました。禅僧でありながらも、奔放で、奇行を繰り返しながらも、その生涯そのものが作品であるかのような人生。ずっと心に残っていきそうなドキュメンタリーでした。

http://www.transformer.co.jp/m/zenandbones/

2017年7月20日 (木)

世界でいちばん美しい村

 ポレポレ東中野でドキュメンタリー映画「世界でいちばん美しい村」(監督・撮影、石川梵、ナレーター・倍賞千恵子)を観てきました。

 2015年4月25日に発生し、約9000人が亡くなったネパール大地震の震源地となったヒマラヤ山岳地帯の村の被災後を追った作品。

 現地取材でこそ伝えられる村の現状は壊滅状態。いつ地すべりでの2次災害が起きてもおかしくない状態。近くの村には避難キャンプができ、 識者たちは村人に移住を勧告しますが、村の老人たちは腰を上げようとしません。その理由には「先祖から受け継いだ地だ」という土着の信仰の基づく精神的要素と「畑を手放しては食べていく手段がなくなる」という物質的要素の両面があるわけです。

 

 観ながら否が応にも想起させられたのが2011年の3・11であることは私だけではないでしょう。原子力災害により、移住を迫られながらも拒み続けた福島県在住の高齢者たちと重ね合わさずにはいられませんでした。

 上映後には撮影を敢行した石川梵さんが登壇。エンドロールを担当した花巻市出身の2人組「はなおと」さんのミニ生ライブもありました。

 災害は地球上どこに住んでいても起こりうる。その時、人間は災害とどう向かい合うべきかを考えさせられました。是非お勧めしたい作品です。

https://himalaya-laprak.com/

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甲斐毅彦

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