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2008年5月12日 (月)

映画「相棒 劇場版」好調の理由

 話題作がヒットするには、それなりの理由があるものです。

 好き嫌いに関係なく、その理由を把握することは芸能記者の仕事のひとつかもしれません。

 封切りから1週間で約150万人を動員し、好調の映画「相棒 劇場版」を丸の内TOEIで見ました。

 最近の邦画界は東宝の“一人勝ち”状態が続いていました。今作を製作・配給した東映にとって本当に久しぶりの大ヒットです。

 開場20分前に着くと、すでに列ができていました。

 ここの劇場は今どき珍しく指定席ではなく、自由席なのだそうです。

 平日昼でもあり、中高年層が目立ちました。

 前につんのめるように、そわそわして落ち着かない人も多く、劇場の係の人が「席は十分にあります。ご安心くださ~い」と何度か説明していました。

 それでもお構いなし。入場OKの知らせに、多くがダッシュで席を確保しているのです。

 本編も楽しめましたが、私は映画以上に、「中高年のイス取りゲーム」なみの突進ぶりに、衝撃を受けました。

 ここまで人を必死にさせる「相棒」とは何? と改めて思うのです。

 このドラマは、ご存じ天才的な推理力を持つ杉下右京(水谷豊)と、体力と行動力が取り柄の亀山薫(寺脇康文)の特命係コンビの事件解決ぶりを描くものです。

 映画に合わせ、いくつもドラマの再放送や特番が組まれました。これらを見ていて新たに感じることがありました。

 個人的に興味深く、引かれるのはやはり右京です。

 この人が新聞記者だったとしても(勝手に想像しています)、独特の嗅覚でスクープを連発する大記者になっていたことでしょう。

 ドラマでは事件現場で誰も気にとめないところから重要な手がかりを見つけ、物事をまったく違った角度から洞察する。

 容疑者の罪を犯した背景や心中まで理解していることが多い。

 クールなようで人一倍、人の痛みが分かる。逮捕して一件落着ではなく、その後の右京のやり取りからはカタルシスも生まれる。

 ドラマの再放送を見るうち、気になって仕方ない疑問が出てきました。右京と小料理屋を切り盛りする元妻たまき(高樹沙耶)が、なぜ1年ほどで離婚してしまったのか、ということです。

 ほぼ毎回出てく小料理店の場面。元夫婦のやり取りは少ない会話の中にも思いやりにあふれ、理解し合っている印象を与えます。

 英国紳士風の右京が、日本酒の酔いも手伝い、腕組みしてウトウトします。絶えず神経を張りつめている捜査姿とは対照的でほほえましいシーンです。

 離婚の真相を教えてもらおうと関係者何人かに聞いてみました。

 ある人には「そんなところをいちいち気にしていたらダメだよ。見るところを間違っている」と怒られました。

 さすがにこの作品のエンドロールに名前の出てくる人なら分かると思い、その中の1人にもたずねてみましたが「う~ん、そういえば知りませんね」。

 その人から1週間後に連絡がありました。

 方々、作り手に聞いてみた結果「離婚の真相はあまり明かさないことになっている」。見る者の想像にゆだねる、ということでした。

 それが分かっただけでもホッとしました。

 映画館に1人で見にきていた初老の男性と少し会話しました。「“相棒”には他の刑事ドラマにはない味わい、深みがあります」と言っていました。

 特命係に追いやられた2人は、職場で虐げられ、心ない言動を度々受けます。不用意な言葉に、見ていて本当にムカつく時があります。

 しかし右京は、決して感情的になることはありません。

 涼しい顔で受け流し、誰も思いつかない推理で任務を遂行します。

 まねしたくても出来ないような生き方、強さ、美学…。きっとこんなところに、男性の言う「味わい、深み」があるのではないか、と思うのでした。

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コメント

あたし、右京さんのファンなのでとても楽しく読みました。そして、たまきさんとのたった1年間の夫婦生活。いろんな人に聞いてくれたのですね。うれしい。あたしが一番知りたかったことです。というのも、近頃、夫婦って何かな?と考えることが多く。激務の相手を心配する。心配で心配で。でも相手は心配しすぎてちょっとおかしくなったあたしをさらに心配する。心配が家の中に充満する。ただでさえ疲れているのに互いの心に負担を掛け合う。右京さんたちが同じとは思わないけれども。忙しすぎる、あるいは危険な職業の夫を持つ人はごまんといる。みんな、どういう風に折り合っているのだろう?たまきさんのようにほほえむことができたらいいのに。

シリーズの中でたまきさんは、右京のことを「頑固で不器用で変わり者の天邪鬼」なところに惚れたけれど、「頑固で不器用で変わり者の天邪鬼」だから夫としては最低でした、とコメントしています。
それ以上の真相は不明、ということになっていますね。
何もかも明かしてしまわない右京のミステリアスさも、
ファンを増やしているひとつの要因ではないかと。

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