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2009年5月 8日 (金)

映画の「放浪記」も負けていません(上)

「放浪記」といえば舞台で、いまではすっかり森光子の代名詞となりました。
林芙美子がこの私小説を出したのは1930年。
森の舞台初演は出版から31年が過ぎた1961年のことです。

Photo_4    過去に3度、映画化されているのをご存じでしょうか。

(1) 1935年 夏川静江主演 木村荘十二監督
(2) 1954年 角梨枝子主演 久松静児監督
(3) 1962年 高峰秀子主演 成瀬巳喜男監督

原作はベストセラーになったそうですが、実際にその文庫本を手にして読んでみると、浅薄な私には正直、とても読みづらく、何度か挫折し、四苦八苦の末に読み終えました。

舞台とは構成も流れもずいぶん違っていてショックを受けたものです。

林さんを実際に知っていた脚本の菊田一夫氏の目を通して芙美子像が描かれます。
配役を変えて再演が繰り返されている舞台版「細雪」にしてもそうですが、菊田脚本は話の筋が、見る者の頭にストレートに「スコーン」と入ってきて、登場人物の性格や心の機微などの背景がじわじわ染みてくる、という感じがします。
その鮮やかな手法は見事というほかありません。
予備知識なしに白紙で見ても、見終わった時にはその作品を知り尽くしたような、そんな恐ろしい錯覚になるのです。

すでに鬼籍に入っておられるので、どんなに一度お会いしてみたいと願ったところでかないません。
ただ出来ることは、残されたものに触れ、考えること。
演劇を取材する者にとって、おそらく菊田一夫の全集は読み通さなければいけない書籍でしょう。
原作をより雄弁にして作品にしてみせる、その「魔法」の背景を少しでも知りたいのです。
天才の頭の構造、思考回路を見てみたいという気持ちもあります。

舞台・菊田版の脚本をもとに映画化されたのが成瀬巳喜男監督の(3)なのです。
DVDにもなっているので比較的簡単に見ることが可能でしょう。
公演中の舞台チケットは早々に完売しており、見るのは至難です。
主演女優は違いますが、映画版で「放浪記」を楽しんでみるというのはいかがでしょう。


それにしても何度見ても飽きない「放浪記」の魅力とは一体、何でしょうか。
しっとと憎悪に満ちた人間関係のドロドロした話もいっぱい出てきます。
しかも、ハッピーエンドのようでハッピーエンドではありません。
舞台と映画を比較しながら、2人の女優の林芙美子像を比べながら、次回では考えてみようかな、と思います。

※写真は東宝から出ている映画「放浪記」(高峰秀子主演)のDVD

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コメント

2000回上演の報道には、感動してしまいました。
舞台版は観たい、観たいと思いながらもここまで
来てしまい・・・・。観てないんです。

そして、映画版もあるなんて。

まるで「馬鹿まるだし」のコメントですみません。

でも、そんな長く上演できた「力」の湧くヒミツを
知りたくなり、さらに観たくなりました。

森光子さんには体力、気力とも大変なことでしょうが
がんばっていただきたくお祈りしています。

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