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2009年6月29日 (月)

マイケル・ジャクソンさんとの私の勝手な思い出

 記者3年目だった16年前、音楽担当でもないのに、九州の来日公演を取材したことがあった。
 数日前にデスクに言われ、あわてて自叙伝と一番新しいアルバムを買って主な曲名を覚え、基礎知識だけを詰め込んで、福岡に行ったことを思い出す。

 93年、マイケルさんは当時35歳。来日コンサートより、世界じゅうが騒いでいた児童への性的虐待疑惑渦中での来日ということで、福岡空港は半端でない数の取材陣が集まっていた。
 空港では裏口脱出をはかり、一瞬顔をのぞかせただけだった。プライベート機で到着したものの、これからどこへ向かい、3日後のステージ本番までどうするのか不明だった。
 各社ぞろぞろ、プチカーチェイス状態で渦中の人物が乗る専用バスを追っかけた。

 着いた先は本人お気に入りの長崎・オランダ村のハウステンボスだった。
 園内の水上バス遊覧中は特にご機嫌。「虐待疑惑については?」という質問が飛んでも表情を変えず、記者たちにも笑顔で手を振ったりする余裕を見せていた。
 お泊まりは一泊20万円するという「ホテルヨーロッパ」の最高級スイートルーム。

 夜まで宿無し状態だった私は、小銭を入れないとテレビが映らないような、ひなびたビジネスホテルに何とかチェックイン。ウトウトしていたら服を着たまま眠っていた。
 別に本人を単純に追いかけただけで、直撃取材したわけでも全然ないのに、余計な緊張からくる疲労感に襲われた。
 スーパースターさん。人間であって人間でないような、これほど別世界的な有名人を生で見たのは初体験だった。
 私はいまも「マイケル=ハウステンボス」的な記憶の連想をしてしまう。

 福岡ドームでのコンサート初日は、通常の10倍、1000人の大警備態勢が敷かれ、 ダフ屋のおじさんは9000円のチケットを10万円くらいで売っていた。
 ステージは20分ほど遅れて開始。この時まで個人的には変人的なイメージが半分以上を占めていた。

 しかし、生で見るムーンウォーク、高音部に特徴のある歌声は、想像をこえていた。
 失神するファンの気持ちが、初めてちょっと理解できた。
 踊りながら歌っているのに、肩で息をすることもない。どれほど強い心肺機能なのだろう。
 驚きと新鮮な感動で、前日の疲れなど消えていた。
 しかし、仕事ではあるが私みたいな者が生で見て良かったのかな?という罪悪感もあった。
 おそらくコンサートでこれほどびっくりするのは後にも先にもないだろう。

 全然ファンでもなかったのに出張から戻ると、調子に乗って何枚かアルバムを買った。

 同時に天才って何だろう、と思うようになった。
 好きな一曲を挙げるなら、「ヒール・ザ・ワールド」を選ぶ。
 この歌詞(日本語訳を読んでの解釈です)、このメロディーを生み出せる優しさ。
 繊細さの中にある叫びのようなもの。高音の歌声に感じさせる物悲しさ。

 凡人は孤高という言葉を安直に使ってしまう。
 天才にしか分からない鋭敏すぎる感性、精神的領域での苦悩と孤独の闘い。
 テレビではいま繰り返し、ジャクソン5時代の幼いマイケルさんの映像が流れている。

 歌もダンスの身のこなしもリズム感も、すでに天才的だったことがはっきり分かる。
 この時、かわいいマイケル少年は自分の将来の夢を、どう思い描いていたのだろう。

 唐突に訪れた人生の結末は、彼を一層、神格化させていくだろう。
 最後の最後まで、波乱の中に身を置いたスター。
 薬漬けだったともいわれているが、この人に本当の安住はあったのか。

 それに引き替え、あれから16年。九州での取材時のマイケルよりも歳を重ねてしまった。
 この間、自分がどれほど変わって、成長したのかを考えると、がく然としてしまうのだった。

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コメント

あのリズム感は、黒人そのもの。
白人になろうとして整形したことが、死を招いたのは皮肉なもの。
白人でありながら黒人のリズム感を持ったプレスリー。
そのDNAを持った娘と結婚。「いずれプレスリーのように死ぬんでは・・」と不安をもらしたMJ。
 42歳で死んだプレスリー。
 50歳で死んだMJ。
 20世紀の米国を代表するキングオブミュージシャン。ともにクスリで絶命するのは偶然ではなく、必然だったのかもしれない。

  人生とは、どこかで不思議な綾をつむぐものですね。


 

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