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2009年7月13日 (月)

映画「劔岳 点の記」の木村大作監督のこと(下)

P1000431 喜怒哀楽をストレートに表現する個性的なキャラクターに引かれるのだろう。
木村監督には熱狂的な女性の追っかけがいる。サインが始まれば、長い列ができる。
年齢は30代以上で高齢者も多い。
しっかりスケジュールを調べ、遠くのキャンペーン先にも姿を見せる。

実際に私も富山で、そこだけ違う雰囲気を放つ優しそうなおばさま集団を発見。
関係者に聞くと、やはり監督のファンだった。
アイドルを追っかけるような目の輝きだったので、一目りょう然だ。
有閑マダム的な人も少なくなく、ファンレターもずいぶん届いたという。
監督は「かなり応援してもらってるのは分かるからね。感謝してるんだ」と、その人たちとたまに喫茶店で談笑することもあったそうです。

宣伝のためにテレビ出演した結果、道を歩いていても異変が。

「自分で言うのも変だけど、歩いていても、チラチラと視線を感じる。
ほとんど男性じゃない。反応して表情に出すのは必ず女性。視線を感じたら、1人でも多く映画を見て欲しいから、少しほほえみながらスーッと近づくね。
そして『あの、僕を認識していただけてるんでしょうか?』と聞く。そして『劔岳、お願いします』と。
恥も外聞もないよ。もう、少しでも目線を感じたら行くからね」

公開後も独自の宣伝活動は続く。
大阪の映画館に行った時など、劇場入口のチケット売り場に仁王立ちになり、客を待ちかまえて何を見るかチェックしたことも。違う作品の入場券を買った若者に「どうして『劔岳』を見ないんだ?」と問いただし、驚かれたという。

映画にこんな場面がある。
未踏の霊峰といわれた剣岳はかつて、登ってはならない山だった。
地元の反発の中、寡黙な山案内の達人・宇治長次郎(香川照之)が山に入る際、息子までが、きつい言葉で批判する。息子に手加減なしの父親のビンタが飛ぶ。
撮影では、そこまで激しくするのは納得できない、という声も出た。
監督が言ったのは一言。「あれ(長次郎)はオレなんだよ!」。

「あれは本当の話だからね。息子が17のとき。オレより背が高いんだけど微妙な年ごろで。
刃向かってきたら、ぶん殴ったことがあった。家庭を顧みなかったオレに不満があったんだろうね。
その時に言ってやったんだ。親子であっても、お前の人生にオレは絶対に入れないんだぞ。
最終的にはお前が勝手に生きていくしかない。ガタガタ言うな!ってね」

その息子さんは、いま34歳。
「あいつもこの映画は見てますよ。どんなこと思ってんのかなあ。でも感想は言わせない。
先日も感想を言おうとしたけど、うるさい!って怒鳴ってやったよ(苦笑)」

公開初日は新宿の劇場に監督の親戚もたくさんお祝いに駆けつけたという。
親戚の人々も気の毒だが、これが監督の逆鱗に触れてしまう。

「変に祝福されるのがオレは大嫌いなんだよ。花束なんか持って控室に来たから、てめえらこの野郎、帰れ!と怒鳴って。オレの性格分かってんだから。後日、1か月くらいして見りゃいいんだ。初日に仰々しく来るんじゃねえ、と言ったよ」

道ばたで少しでも視線を感じれば、積極的に宣伝活動する一方で、家族、親戚には自分への祝福は許さない。
振る舞いの振幅の大きさにびっくりするが、人一倍、照れ屋だから直らない。

でも息子さんは言ったそうだ。
「最初に試写室で見たので、もう一度、映画館でお客さんと一緒に見るよ」
これ以上ない父親への賛辞と受け止めて、良いのではないでしょうか。

【写真】浅野忠信、香川照之とともに。1月27日に最初に完成披露試写を行った富山で。木村大作監督は「生まれて初めてあつらえた」スーツに少し緊張の面持ちでした。

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