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2010年6月21日 (月)

映画「告白」の中島哲也監督(上)

 観客動員は100万人を超え、公開から2週間連続で人気のランキングが1位。1週目より動員を伸ばした劇場も少なくなかった。
「ホッとしました。公開直後は精神的にもぐったりでしたが」
中島監督からは安堵の様子がうかがえた。いまでは失敗作のない「打率10割監督」。封切られるまでのプレッシャーはいかばかりか。想像するだけで胃痛になりそうだ。

 中学校が舞台なのに映画は映倫審査でR―15指定。普通、性描写や暴力など描かれた場面によって指定が出されることが多い。しかし、今作は教え子が教師の娘を殺す。「未成年がこのような事件を起こしてしまうことに対して、ほとんど最初からR―15となったんですよ」と話す。

 今作の特徴は想像力を駆り立てる陰影と「無数のパターンがあります」というスローモーション映像。監督は撮影の技術的なことは「一部分に過ぎない」という。しかし、独特の映像の世界は松たか子演じる教師森口の告白の冒頭20分は驚異的な長回しで撮影されたのではないか、と思うほどの臨場感。実際は長回しではないのだが、劇中の緊迫感は一気に見る者を引き込む。まるで魔法でもかけられたように見入ってしまう。

 かつて豊川悦司と山崎努が温泉で卓球バトルを繰り広げたユニークなCMがあったのをご記憶だろうか。中島監督のつくった代表作のひとつだ。広告業界では巨匠的存在。何年前のものか調べていたら、いまはすごいものだ。すぐにYou Bubeに懐かしの名作CMとして出てくる。あのCMからもう10年が過ぎていた。

 スローで見せる効果について。「これを言葉で表現するのは非常に難しいんですよね。登場人物の精神状態を伝える上でこれはノーマルスピードではなさそうだ、という感覚。今回は全員がモノローグ。客観的にクールに語っているように見えるが、実は主観。そのバランス具合をどう見せていくのか。難しいものがありましたね」

 独特のモノクロに近いような色彩や陰影についてはどうだろう。「今回あれを見てリアリティーを求めた映像だという人もいたけれど、それは違っているように思う。むしろ逆に本来あるべき情報をどんどん省いていった。街にはまったく人がいなければ、教室の壁に何もはられていなかったり」

 聞かされて初めて気づくほど、上映中は登場人物の内面を読み取るのに必死で、周囲の風景など気にならなかった。現実味があるかどうか。たとえ虚構の世界でも見る者に時空のこえるような集中力を与えるのは、そこにリアリティーが存在しているから、ではないか。

 この映画が封切られた後にも実際に教室内で生徒が生徒に刃物を向け、傷づけるという事件が起きている。映画よりも現実の方がショッキングなのかもしれない。監督はこれらの現状をどんな風にとらえているのか?次回で触れるが、その答にこそ、「告白」映画化に駆り立てた監督のある思いが込められている。

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