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2010年10月26日 (火)

映画賞の季節

 映画賞の準備のため、この時期になると集中的に映画を見る。多い日など4、5本。「あれ、最初に何見たっけ?」と記憶喪失に陥ってしまうこともある。見るのは好きだけど、せっぱ詰まって見る精神状態は、もはや映画が娯楽の域ではなくなっている。寂しく悲しいものがある。自分の見たいものだけ心ゆくまで見られたら、どれだけ幸せだろう。

 実際に映画を取材するまで、どんな映画賞でも受賞した俳優や作品を素直に純粋に称賛できていたように思う。完全に受け身の気楽な立場で何も考えずにとらえていた、というのが実際のところだが。

 誰にでも好き嫌いは存在するが、映画を担当し始めたころは自分が面白くなかった作品や下手な芝居を展開した俳優が賞をもらったりすると、ちょっとむかついたりする自分がいた。未熟な私は完全に納得できないまま、取材したこともある。でも時間とは不思議なもので、授賞式で喜ぶ姿やその後の活躍を見て「あの受賞は正しかった」と反省し、納得することもある。

 選考する側になって知ることも多い。以前、助演女優賞を取ったある女優のマネジャーに取材申し込みをしたら「〇〇の作品では主演なのになぜ主演女優賞じゃないんです?」と返されて、絶句したこともあったっけ。「では辞退されたいということですか?」と聞けば、「もらいますよ」という。華やかな賞の世界にも、祝福一色でない悲喜こもごもがあるのを知った。

 しかし、人の感性は全員違う。映画に優劣や順位をつけること自体、かなり無謀なことだ。でも映画賞レースはやってくる。選考する人々がどこに着目して評価しているのかを聞くのも勉強になる。さて自分はどうするか。忘却は残酷だが、記憶のかなたに消えることなく、いつまでも息づいている作品や俳優の映像を振り返りながら、自分の記憶に誤りがないか確認中だ。

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