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2012年3月26日 (月)

映画監督の才能とチャンス

 東京・渋谷ユーロスペースでは現在、「桃まつり」という題で特集上映が組まれている。若手女性監督の新作短編を集めたもので、今年で5回目だという。「すき」というテーマでの競作。全9作を見てみることにした。どんな人が撮ったのか、誰が演じるのか。名前を知らない人が大半。ほとんど白紙の状態で作品だけに集中して見る機会はあまりなく、逆に新鮮だ。特に印象に残った2作を挙げてみます。

 1982年生まれの天野千尋さんが監督・脚本を担当した「フィガロの告白」(22分)。しゃれたタイトルのイメージとは少し異なり、登場するのは中学男子4人組。何やらエッチな雑誌を見ている。そこから話は意外な方向に展開し、いまからそれぞれ好きな女の子に、思い切って告白しに行くことになる。じめじめした陰気な話で終わるのかと思ったら、ここからまったく予想できない展開に次ぐ展開。ネタバレになるので書けないが、後半も度々驚かされ、いまも見終わったときの余韻が消えないでいる。

 1981年生まれの星崎久美子さんが監督した「さめざめ」(20分)。脚本・編集も兼ねていて、3役をこなした。プロフィールにはテレビCM制作の会社勤めをしながら映像制作を始めた、とある。こちらは、冷え切った夫婦が出てくる。会話もなければ、疲れて帰宅した夫は妻がずっと家にいるのに家庭料理ではなく、コンビニ弁当を一人で食べている。離婚寸前を思わせる雰囲気で、おおよそタイトル通りの印象だ。劇中のセリフが極端に少なく、見る方にいろいろ想像させる。これも監督の狙いのひとつだろう。ところが後半から、急に具体的な会話が始まる。その内容にはひっくり返りそうになったが、こちらも良い意味で予想を裏切られ、不思議な味わいを残す作品だ。

 世の中が男女平等になったといっても、女性の映画監督が活躍できる機会は多くない。感性豊かで可能性ある人も、夢を実現できないまま終わる人もいる。「すき」をテーマに、好きに撮った今回の9人の監督は数年後、どうしているだろう。監督の初期の作品にこそ、その人の才能が凝縮して表れることも多い。9人の監督の名前を記憶しておくため、手帳にメモした。これからの活躍を祈りたい。

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