金環日食で
5月21日に見られる金環日食を控え、日本はほとんどお祭り騒ぎだ。
「金環日食」と聞くたび、「金環蝕」(山本薩夫監督、1975年)という映画を思い出す。5、6年ほど前に社会派の巨匠として知られる山本薩夫作品を続けて見る機会があったが、印象深い一作として残っている。九頭竜ダム建設の工事をめぐる汚職事件をモデルに描いたもので1966年に石川達三が発表した小説が原作だ。
仲代達矢(官房長官)、京マチ子(首相夫人)、三國連太郎(代議士)、宇野重吉(金融王)など大物が顔を並べ、演技もストーリーも見応えがあった。しかし、どうしてタイトルが「金環蝕」なのか。冒頭にこう出てくる。「外側は金色の栄光に輝いて見えるが、中の方は真っ黒に腐っている」。天体の現象を政界とダブらせたのだった。
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